御書講(平成21年4月)
立正安国論(三)


 旅仁王経に云はく「(中略)云何なるを難と為す。日月度を失ひ時節返逆し、或は赤日出で、黒日出で、二三四五の日出で、或は日蝕して光無く、或は日輪一重二三四五重輪現ずるを一の難と為すなり。二十八宿度を失ひ、金星・彗星・輪星・鬼星・火星・水星・風星・?星・南斗・北斗・五鎮の大星・一切の国主星・三公星・百官星、是くの如き諸星各々変現するを二の難と為すなり。大火国を焼き万姓焼尽せん、或は鬼火・竜火・天火・山神火・人火・樹木火・賊火あらん。是くの如く変怪するを三の難と為すなり。大水百姓をo没し、時節反逆して冬雨ふり、夏雪ふり、冬時に雷電霹ッし、六月に氷霜雹を雨らし、赤水・黒水・青水を雨らし、土山・石山を雨らし、沙・礫・石を雨らす。江河逆しまに流れ、山を浮べ石を流す。是くの如く変ずる時を四の難と為すなり。大風万姓を吹き殺し、国土山河樹木一時に滅没し、非時の大風・黒風・赤風・青風・天風・地風・火風・水風あらん、是くの如く変ずるを五の難と為すなり。天地国土亢陽し、炎火洞燃として百草亢旱し、五穀登らず、土地赫燃して万姓滅尽せん。是くの如く変ずる時を六の難と為すなり。四方の賊来たりて国を侵し、内外の賊起こり、火賊・水賊・風賊・鬼賊ありて百姓荒乱し、刀兵劫起せん。是くの如く怪する時を七の難と為すなり」と。
  大集経に云はく「若し国王有りて、無量世に於て施戒慧を修すとも、我が法の滅せんを見て捨てゝ擁護せずんば、是くの如く種うる所の無量の善根悉く皆滅失して、其の国当に三つの不祥の事有るべし。一には穀貴、二には兵革、三には疫病なり。(中略)」已上。
  夫四経の文朗らかなり、万人誰か疑はん。而るに盲瞽の輩、迷惑の人、妄りに邪説を信じて正教を弁へず。故に天下世上諸仏衆経に於て、捨離の心を生じて擁護の志無し。仍(よ)って善神聖人国を捨て所を去る。是を以て悪鬼外道災を成し難を致すなり。
(新編御書 236)

(通釈)
 このように異常が起こるのを第三の難とする。根は悉く滅し失われ、 (通釈)
仁王経には、「(中略)具体的にいかなることを難とするのか。まず、太陽や月が運行の規則性を失い、季節が逆になり、あるいは赤い太陽が出たり黒い太陽が出たり、一度に二・三・四・五の太陽が出たり、あるいは日蝕で太陽の光がなくなったりあるいは太陽が一重・二・三・四・五重の輪を現ずるのを第一の難とする。
次に二十八宿が運行の規則性を失い、金星・彗星・輪星・鬼星・火星・水星・風星・?星・南斗・北斗・五鎮の大星・一切の国主星・三公星・百官星等々多くの星が、それぞれ異常な現象を起こすのを第二の難をする。
第三に、大火が国を焼き、万民を焼き尽くすであろう。あるいは、鬼火・竜火・天火・山神火・人火・樹木火・賊火が起こるであろう。このように異常が起こるのを第三の難とする。
第四に、大洪水が民衆を押し流し、季節が逆になって、六月に氷や霜・雹が降り、赤水・国水・青水を降らし、また土や石を山ほど降らし、砂や礫や石を降らす。河は逆に流れ、山を浮かべ、石を流すほどの大洪水となる。このような異変が起こるのを第四の難とする。
第五に、大風が万民を吹き殺し、国土、山河、樹木が一時のうちに滅没し、時節外れの大風・黒風・赤風・青風・天風・地風・火風・水風が吹き荒れる。このような異変が起こるのを第五の難とする。
第六に、天地・国土が大干魃で乾ききり、燃え上がらんばかりの猛暑によって、百草はみな枯れ五穀は実らず、土地が焼けて、万民は滅亡するであろう。このような異変が起こるのを第六の難をする。
最後に、四方の国から賊が来襲して国土を侵略し、国内にも賊が出て内乱を起こし、火賊・水賊・風賊・鬼賊があって民衆をおびやかし、いたるところに戦乱が起こるであろう。このような異変は生ずるのを第七の難とするのである。」と。
  大集経には「もし国王があって、すでに無量世にわたって、布施を行じ、戒律を持ち、智慧を修得してきたとしても、正法を滅するのを見ながら捨てて擁護しないならば、過去に積んできたところの無量の善根は悉く滅し失われて、その国に三つの不祥事が起こるであろう。それは、一に穀貴、二に兵革、三に疫病である。(中略)」以上。
  以上のごとく、今光明経・大集経・仁王経・薬師経の経文は、まことに明らかである。誰人がこれを疑うことが出来ようか。しかるに、明盲のごとき輩や理非分別のつかぬ人は、みだりに邪説を信じて正しい教えを弁えていない。その影響により、広く世間の人々も、諸仏や衆経に対して、捨て離れる心を生じて擁護する志がないのである。そのために、善~・聖人は国土を捨て去り、かわって悪鬼・外道が災難を引き起こすのである。

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