大悪大善御書

令和五年一月度 御報恩御講拝読御書

大悪大善御書だいあくだいぜんごしょ 御書七九六ページ五行目~八行目
(文永十二年 五十四歳)

大事だいじには小瑞しょうずいなし、大悪だいあくれば大善だいぜんきたる。すでに大謗法だいほうぼうくににあり、大正法だいしょうぼうかならずひろまるべし。各々おのおのなにをかなげかせたまふべき。迦葉尊者かしょうそんじゃにあらずとも、いをもいぬべし。舎利弗しゃりほつにあらねども、ちてをどりぬべし。上行菩薩じょうぎょうぼさつ大地だいちよりたまひしには、をどりてこそたまひしか。普賢菩薩ふげんぼさつたるには、大地だいち六種ろくしゅうごかせり。

通釈

大事の前には小さな前兆はない、大悪が起これば大善が来るものである。既に大謗法が国に現れているので、大正法は必ず広まるであろう。あなた方は何を嘆いておられるのか。迦葉尊者ではなくとも、舞を舞って喜ぶべきであろう。舎利弗ではなくとも、立ち上がって踊るべきである。上行菩薩は大地からお出になる時、歓喜踊躍して出現されたではないか。普賢菩薩が出現した時には、大地を六種に震動させている。

主な語句の解説

  • 迦葉尊者

釈尊の十大弟子の一人。衣食住に関して少欲知足に徹したことから「頭陀第一」と称される。

  • 舎利弗

釈尊の十大弟子の一人。智慧に優れたところから、「智慧第一」と称される。

  • 上行菩薩

釈尊の久遠の開顕を助けるために大地より涌出し、末法の法華弘通の付嘱を受けた地涌の菩薩の上首。この上行菩薩は、末法に出現した法華経の行者日蓮大聖人であり、内証は久遠元初の自受用報身如来である。

  • 普賢菩薩

迹化の菩薩の上首で、文殊菩薩と共に釈尊の脇士として仏の真理や修行の徳をつかさどっている。法華経普賢菩薩勧発品第二十八では、法華経および法華経の行者の守護を誓っている。