盂蘭盆会
毎年7月15日または8月15日に、先祖の供養を行なう仏教行事を「お盆」、詳しくは「盂蘭盆(うらぼん)」といいます。盂蘭とは、梵語で「倒懸」という意味で、餓鬼道の飢えや渇きの苦しみが、あたかも、さかさに吊るされた苦しみに似ているところから、このようにいわれ、盆とは、それを救う器という意味です。つまり、地獄に堕ちて苦しんでいる者を救うために、百味の飲食を盆に盛って、聖僧を通 じて仏に供養し、その苦しみを取り除いて成仏に導くという儀式です。
この盂蘭盆会が、日本に行なわれるようになったのは、仏教が伝わって約百年後の、第37代の斎明天皇の時代であると伝えられていますが、その根本は、仏説盂蘭盆経によっています。
本宗においては、常盆・常彼岸で、毎日がお盆であり、お彼岸であると心得て、先祖の供養を怠りなくしていくことはいうまでもありませんが、「盂蘭盆会」という特別 な法要日を設けることも、決して意味のないことではありません。
つまり先祖の供養と同時に、おのおのの信心に新らたな心構えをもたせ、また、間違った教えで盂蘭盆会を行なっている人々に、本当のお盆を教えて、成仏に対する認識をあらためさせるのです。さらに御本尊への結縁を深めていくという意味からも、大事な行事といえましょう。
しかも、草木成仏(そうもくじょうぶつ)の深い原理にもとづき、塔婆を立てて先祖の菩提を弔らいますが、これも塔婆に書写 した妙法蓮華経の功徳をうけて、各精霊は霊山浄土に安住することができるからです。
いずれにせよ、末法万年の闇を救う御本尊のもとに、まず自分自身が成仏の境涯を得ることが肝要であり、その功徳を先祖に回向することこそ、真実の盂蘭盆会であり、末法今時においては、本宗だけが、正しい盂蘭盆会を行なっているといえるのです。