2.御誕生
二月十六日(1222年/貞応元年)安房の国(現在の千葉県)小湊というまずしい漁村でくらす漁師の家に元気な男の子が生まれました。
まずしいなかにもおおくの村人たちが、祝福をしにきてくれました。お父さんもお母さんもとても幸せでした。
不思議なことに、この子が生まれる数日前から大地から清水が湧きだし季節はずれの木々にも花が咲き、海の中では蓮の花がさきみだれていました。
自然界の命あるものたちが、みんなで「おめでとうございます。」と言ってお祝いに来ているようでした。そんな不思議なこうけいを目にした村人たちは口々に「この子はきっと立派な人になるじゃろう」とうわさをしていました。
まさか全世界の人たちを救うために現れた仏様だとは誰ひとり知るよしもありませんでした。そして両親はこの子を善日麿となづけました。